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ミュージックセラピィとは

 ミュージックセラピィではクライアントさん(セラピィを受ける人)とセラピスト(音楽療法士)が一緒に音楽をつくりながら、人間関係を結びます。その関係の築き方や状態を考えることで、自分自身についての気づきを得たり、新しい自分のあり方、より良いあり方を見つけたりすることができます。ミュージックセラピィは、クライアントさんの生活の質の向上をめざします。

 

 セッション(セラピィの時間)には、誰にでも簡単に演奏することができる、幅広い種類の楽器が用意されます。音楽はクライアントさんの目標に取り組むための手段として使います。

 

 目標には、社会性の向上、他者との関係の仕方や交流の仕方の向上、言語をつかわない感情表現を発達させること、などが掲げられます。ミュージックセラピィは、さまざまなニーズ(身体、精神、感情、社会性、認知)にこたえられる可能性があります。

 

 すべてのヒトは音楽になじみ、反応する力を生まれつき持っているとセラピストは信じています。病気や怪我、障害も、この能力に影響することはないでしょう。音楽づくりには言葉を必要としないため、ミュージックセラピィでの人間関係には言語は不可欠ではありません。音楽づくりの行為そのものが、クライアントさんとセラピストの間のコミュニケーションに意味を与えます。音楽は言葉に表すことのできない感情の直接的な表現方法にもなりえます。

こんな方におすすめします

 ミュージックセラピーは特に、

  • 知的障害

  • 精神疾患

  • 自閉症スペクトラム

  • 発達の遅れ

  • 身体障害

  • 認知症

  • 感覚障害

  • 情緒障害

などをもつ、子どもから成人、ご高齢の方までにおすすめします。

ミュージックセラピィの働き

 ミュージックセラピィが作用する方法は数多くあります。音楽は私たちの生活の中で多くの機能を持ち、その機能のいくつかがミュージックセラピィで使われます。

 

 ひとつは音楽の社会的な性質です。他者と一緒に音楽をつくる行為には、「聴くこと」「交替ですること」「共有すること」「伝えること」を、ともないます。そのため、ミュージックセラピィでクライアントさんがセラピストと一緒に即興演奏(音楽づくり)をすることによって、これらのスキルを発達させることができます。これらのスキルは自信や自尊感情、自己意識の発達にも役立つでしょう。

 

 音楽には表現する機能もあります。言葉をつかわずに、私たちがどのように感じているかを音楽では表現することができます。ミュージックセラピィのクライアントさんは情緒障害を抱えていることが少なくありません。このような方々は、自分自身を表現することを難しく感じ、つらい感情から逃れられないことがあるようです。言葉にできない感情や言葉にするにはつらすぎる感情を音楽で表現することによって、気持ちを昇華させることができるかもしれません。

 

 また音楽は、特に身体障害のある方々にとっては強い動機にもなり得ます。音楽づくりは身体意識を高め、音をつくりだすために体を動かす動機を与えます。また、ミュージックセラピィの音楽づくりは楽器の演奏だけでなく、声を使って歌をつくることもでき、言語が出る前の「声」を使うことにも動機を与えます。言葉の出ない方々は、あまりご自分の声を使っていないかもしれませんが、声は自分自身を表現するための重要な手段になります。小さな子どもたちにとっては、セラピストと一緒に発声(喃語)しながら自分の声を模索することで、結果的に言語の発達につながることがあるかもしれません。

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